今、NISA口座を開設済みで、これから積立NISAにしようか悩みました。
結論から申し上げますと私は「NISA」で投資していきます。今回はその検討の経緯をご紹介しようと思います。
NISA・つみたてNISAの概要
みなさんご存じのとおり、NISAは毎年120万円の投資が可能で投資したその年から5年間のうちに売却した際の配当金・分配金・譲渡益が非課税となります。
つみたてNISAは、毎年40万円の投資が可能で投資したその年から20年間のうちに売却した際の分配金・譲渡益が非課税となります。
私が今回、比較した違いは以下の通りです。
ポイント | NISA | つみたてNISA |
投資可能な対象 | 株式・投資信託等 | 一定の投資信託 |
投資可能期間 | 2014年~2023年 ※2024年~2042年は新NISAに移行予定 | 2018年~2042年 |
投資可能年額 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年 | 20年 |
ロールオーバー | 可 | 不可 |
どっちがええんやろか・・・途方に暮れる
似非関西弁ではないですよ(笑)生まれは大阪です。
実は私はNISAを2014年から口座開設しておりましたが、当時は特段投資のやり方も分からず、「まずはやってみよう」と、適当なところに投資しては様子を見るなどしていました。(途中で何もしない年もありました。)
2018年につみたてNISAができたころから「どっちがええんやろ・・・」と素直に悩んだものの、自分の中でも定まらず、仕事もバタバタしていたこともあり、結局、今までNISAのままでおりました。
120万円投資できた方が安心感はある。せやけど5年・・・。年40万円で20年か・・・それもなぁ。。。
頭の中に金額と期間ばかりが並び、結局のところどっちがいいのか選択できず。
目的をよくよく考えよう
結局のところ、目的をよくよく考えてみることにしました。「何のために投資するのか」と。
そう考えてみると、思い返せば、NISA口座を開設したころから最近まで、漠然と「お金ほしいな~( ^ω^)」くらいの考えであったなと思うのです。
手元資金はいくらなのか、毎月どれだけ積立できるのか、そんなことは一切考えていなかったなと素直に思うところではあります。
車を買いたい、家を買いたい、老後資金を貯めたい、子供のために貯めたい、何でもよいのです。
ちなみに私は、先日、マンションを購入しようかと思った際、住宅ローンによってキャッシュフローが悪くなることを懸念し、貯金をしっかりしてから購入しようと思った。というのが素直なところです。
同時に、FPの方に「まだあと100万円貯金できますね。」と言われたその一言が、印象に残っています。
そこで、私は生活防衛資金も含めて今後のライフイベントに備え5年で500万円の資産形成をしようと目標を立てました。
5年以内に発生するライフイベントによって、もしかすると取り崩しするかもしれない・・・と思うことはありますが、先のことはその先々で考えようと割り切ってしまうことにします。
具体的に考えてみる
目標ができれば、まず1つの基準が生まれます。
年額100万円を”非課税で”投資しようとしたらNISAしか満たせないという点です。大きな判断材料にはなりますが、これだけで決めてしまうには少し安直な気がします。
投資可能額ではNISAだがー
ひとまず、もう一方の「つみたてNISA(40万円)+課税口座(60万円)」というケースを考えてみましょう。
つみたてNISAの場合20年間の非課税メリットがありますが、年間100万円を投資するのならば60万円分は課税口座で運用しなければなりません。計算こそしませんが、メリットは少なくなるような気がします。
2042年までのうち約20年で合計で800万円しか非課税枠を活用できないことになります。
しかし、つみたてNISAには「20年間」という、とにかく長期間保有しておけるメリットはあります。
「20年間」にはどんなメリットが考えられるのだろうか。
- ドルコスト平均法+インデックス投資であれば、20年という期間をかければほぼ負けなしだと思う。
- 売ることを考えたときに、途中で暴落や下落相場、円高等の売るには不利な状況に陥っても、再び相場が上がってくるまでじっくり待つことができる。(NISAの場合はロールオーバーしなければ5年。)
- 仮に20年後に大きく利益が出ている場合、非課税の恩恵がより大きくなる。
特に2番のメリットは大きく感じるところ。出口戦略を考えれば落ち着いて売り時を考えられそう。
売るときに困る円高とか株安はどれだけ続くのだろうか
私は外国株式を中心とした投資信託をしているので、円高が発生した際に、元の相場に戻るまでどれだけ期間を要したかを調べてみるとこんな感じです。(元の値段に戻ってくるだいたいの期間を調べていますので、「名前」と「期間」が完全一致しない場合があります。)
名前 | 種類 | 年代(元の相場に回復するまでの期間) | 変動幅 |
バブル崩壊 | 円高 | 1990年~1998年(約7~8年) | 約140円⇔約79円(-44%) |
米国の低金利政策 | 円高 | 2002年~2005年(約3年) | 約120円⇔約102円(-15%) |
リーマンショック | 円高 | 2006年~2014年(約8年) | 約120円⇔約75円(-38%) |
円高自体は、買うときには良い効果が望めるでしょうけれど、売るときには困った問題ですね。
暴落・株安などで下落が続いた場合について、適当にNASDAQ総合指数なども参考に見てみるたら、相場の回復までには約半年~3年程度はかかっているようです。(ITバブル崩壊後の回復に至っては15年ほどかかっていますが、これはちょっと特殊なように見えるので、除外しています。)
日経平均の場合でも、ぱっと見5~6年程度、価格が低い状態があった期間がいくつか見られます。
積立の場合はドルコスト平均法により、平均購入価格自体を下げられますから、実際の影響はもう少し短期間になるとは思いますが、「いざ、売るぞ!!」と思っても、円高や株安などによって利益が望めない可能性は考えておかなければなりませんね。少なくとも売る5年前くらいには相場を見ておきたい。
非課税期間に売却することを考えると「つみたてNISA」の20年というアドバンテージは大きいように思います。
ただ、つみたてNISAの20年を過ぎても課税口座に移るだけなので、暴落やら円高があっても、売る予定がないならそのまま持っておいた方が良いのでしょうね。
NISAだってロールオーバーしてしまえば非課税の期間は延長できる!
NISAは5年だから不利かというとそういうわけでもありません。
NISAの場合ロールオーバーが可能で、満期を迎える場合、満期となる年の投資可能枠を使って、更に5年延長させることが可能です。
ただし、その年の投資可能枠を使ってしまうため、溢れた分は課税枠で投資することにはなります。
つまり、年100万円投資していると、5年後にそのまま(利益は考えずに)ロールオーバーすると80万円は溢れてしまいますね。
極端な例ですが、毎年60万円をNISA口座で運用し続けていけば、10年間は”ほとんど”非課税枠の中で投資し続けることが可能です。
※新NISAの制度にあった投資商品であることが前提。
※ロールオーバー時に利益分も投資枠に含まれるため、例えば下図の2026年の投資可能枠はロールオーバーした資産の利益分マイナスになる。

でも、よくよく考えたら、利益が出ているなら満期直前で売って利益を得て、暴落しているならロールオーバーなんぞせずに、普通に課税口座で運用を続ければいいだけの話で(「今年の満期分は残念でした!」と思うしかない)、その年もまた100万円投資して5年間待つわけですから、あんまりロールオーバーの魅力はありませんね。
ロールオーバーが有効活用できるのは「5年後に積立投資をやめていて非課税枠が余っている場合」しかないんじゃないかと思えてきました。(それか上の図の年60万円作戦・・・ですかね?)
なんだかんだで「目的」次第かなと考えた
NISAのメリット・デメリットを様々調べてみたものの、結局のところ「目的」次第かなと考えるに至りました。
それは、目的次第でメリットともデメリットともとれてしまうからです。いくつかの例を挙げましょう。
- 結婚や車・住宅・海外旅行など比較的数年のうちに発生するイベントのための貯金をしたい
- 年40万円という額でつみたてNISAをしても、すぐに売却してしまうと非課税期間20年というメリットは生かせない(安心という程度)。
- 売り時を選ぶというよりも必要な時期が来たら支出するので、売り時を見計らうほどでもない。
(数年以内に支出する予定があるのならば、現金や定期預金という選択肢も検討した方が良いとも思う。)
- 老後資金のために貯蓄したい・子供の大学進学費用にしたい
- 長期投資の場合はつみたてNISAのほうが良い。
- NISAで同様のメリットを出すことは難しい。
NISAという制度の趣旨を改めて考えてみる
NISAという制度自体は、端的に言えば「国民に投資による資産形成を喚起させるためのもの」であって「NISA枠内の投資を推奨している」わけではないです。
どっちがいいかって、散々悩みましたが、結局、NISAの枠に入らない分は気にせず課税投資をすればよいのです。NISA枠内であれば非課税にしてあげるよ!というだけのもので、溢れてしまうということは、つまり「それだけの投資余力があるのだ」と寧ろ自分を褒めてあげればよいのだと思えてきました。
結局のところ、どっちのほうが有利かという考え方をすると、どうしても「非課税枠」と「期間」ばかりに目が行ってしまいますが「目的」がはっきりしない段階ではどちらも有利とはいえないのです。
結局「NISA」にした
最終的に私がNISAにすると決めた理由は以下の通りです。
- 少なくとも私は現時点で「老後資金」というテーマでの貯蓄は考えていません。
それは、例えばこの先10年後、途中で取り崩しなどせず1,000万円の資産を形成できたとして、それはそのまま老後資金として転用できてしまうし、そこまで貯蓄できていれば非課税枠を気にせずとも貯蓄は十分できるでしょう。 - 現在の目標は「5年で500万円の資産形成(年100万円)」であるものの、目的は具体化できそうにありません。
あえていうなれば「今後起こるかもしれないライフイベントへの備え」程度の考えです。 - 非課税枠と目標(5年後500万円)を照らして考えてみれば、「つみたてNISA」では到達できませんが「NISA」ならば到達可能です。
- ライフイベントの発生により取り崩しの可能性はそれなり高いことを考えれば、つみたてNISAの20年という期間を生かせないと思う。
私はこのような理由で決めましたが、同じような状況でも積立できそうな金額が(この先を考えても)年間40万円を下回る見込みならば、つみたてNISAのほうが良いとは思います。
あわよくば「使う用事が無ければ20年放置しておける」ので、つまり、売り時などを考えるタイミングを先延ばしにできる分、暴落・円高などのリスクが発生しても落ち着いて対処できそうですし、何より、貯金(つみたて)に集中しやすいでしょう。
今回は、私がNISAを選んだ理由についてご紹介いたしました。少々、のらりくらりした感があり、いくらか読みにくいかなと思うこと、先にお詫びしておきます。
毎年切り替えのチャンスはあるので、今後、変化があればまた記事にしたいと思います。
なお、金融庁のHPにもNISAの活用事例がありますので、そちらも参考にしてみてください。